ファーストミートに凝縮されたもの

私をまちがいなく救ってくれた人の門出の日、結婚式がすばらしかった。あれ以上のクオリティの式に列席することはもうできないんじゃないかと思う。

心から人の幸せに感動したのは初めてかもしれない。なんで涙が出たのかわからない。

 

ファーストミートで花嫁のウエディングドレス姿を見た、あの瞬間を忘れることはないと思う。びっくりするほど美しかった。

あらゆる覚悟を決めて、準備や周囲への気遣いに心を割き、協力しあい、いやそれよりも前に一人を愛するって決めて何年もの間縁を大切にして、なんて、途方もない道のりだっただろうな。

その積み重ねが、このウエディングドレスなのだと思うと、美しいと思わずにいられなかった。美しさは確実に努力を反映する。ファーストミートに立ち会えたことがこんなにも嬉しい。

あとで花嫁本人から友人の結婚式に参加する気持ちってどんななのって聞かれたけど、負の感情はまったく湧かなかったと答えた。純粋に今までの努力を称えたかったし、どうか幸せになってほしいと思った。このふたりが幸せでいられるなら何かしてあげたいと素直に思えた。そういう綺麗な感情が自分の中にあることを知れて嬉しかった。

 

ひとつ思うことがあるとすれば、私にはもうこの道、いわゆる親戚友人をたくさん呼んで式をするような道は残されていないと確信したことだった。自分が主役になるなんて考えただけでぞっとするし、したいとも思えなかった。そもそも互いに思いをきちんと伝えあうような関係性を各所に築くことは私にはもう不可能だ、できる人はもうできているのだ。

少し悲しいと思ったけど、むしろすがすがしい気持ち。諦めたら諦めたで、その先に人生は続くのだから、もう途方もないことを期待しないほうが健康でいられる。関係性の形はひとつじゃない。定型を外れたとて不幸じゃない。と信じたい。

 

でもあまりにも素敵だったから、友人の結婚式には、もっと出てみたいと思った。