変身

アルバム「変身」に収録された曲。

アルバム「変身」に込められた、彼女たちの葛藤と決断の美しさには、目をみはるものがある。


かつてチャットモンチーは3人で長い間活動してきたバンドだった。しかし、ドラムの高橋久美子が脱退したことにより、2人に。それでも彼女たちはバンド活動をやめなかった。

わたしはチャットモンチーの曲を聴くだけであり、裏話には精通していないので、どんな困難があったのかはわからない。たぶん表では話されていないだろうとも思う。
でも、当の彼女たちは、その出来事を”変身”と呼んだ。活動の縮小ではなく。新たなステージへ前向きに進むことを選び、そのことを素直に、目をそらさず表現したのだった。


チャットモンチーが2人になったとき、2011年、私は中学2年生だった。
クミコンが脱退すると知ったときは、うそでしょ?という思いでいっぱいだった。今まで追いかけてきた音が、もう聴けなくなるのか。3人がかもしていた空気感を持つ新曲は、もう二度と出ることはない。そう考えると、どうしようもなく切なくなった。
2人になって初めて発表された曲は「満月に吠えろ」だった。この曲については違う機会に語るが、私が思ったことは、ああ、チャットモンチーは変わってしまったんだな、ということだった。ポジティブでもなく、ネガティブでもなく、ニュートラルな意味で。


およそ1年後の翌年、アルバム「変身」がリリースされた。
そのリード曲が、この『変身』である。
あ、なるほど。チャットモンチーは変わっちゃったんじゃなくて、変身したのか!と、このとき初めて理解した。


だってこの歌詞、最高にクールだと思いませんか。

 

変身するぞ
裏切りのサプライズ踊って
変身するぞ
どうせ嫌いになんてなれないだろ?

 
自分たちの行為を「裏切り」とまで理解しながら、聴いている人を挑発さえして、彼女たちは、ただただ前に進もうとしていた。
それも楽しそうに。
変化や困難を受け止めて、それを自分たちのものにしてしまおうという姿勢に、私はただただうれしくなった。希望を持った。本当に強い女性たちだ。

 

 


そんな前向きな感情だけではないということは、同アルバムの曲『少女E』によって語られるのだけど、そのメッセージに気が付くのは私にはまだ先の話だった。それも今度書きますね。


本当は、発表順に書きたかったのだけど、日によってそれぞれの曲に対する熱量が違うので、気まぐれに書くことにしました。

文章を書く曲を決めたら67曲という曲数に膨れ上がったので、思い悩み、結局28曲に厳選することにしました。ぼちぼち書き残していきます。楽しみ。