マッサージの英才教育を受けていた

マッサージが好きだ。自分でするのも、人にするのも。

 

 

思うに、わたしはマッサージの英才教育を受けていたように思う。

昔から毎日のように、兄から、マッサージしてくれと言われていたのだ。

 

うちの兄、かなり、でかい。背が高いとか太ってるとかそういうのよりも、でかいという表現があっている。元空手部で大食いの人間である。

兄とは10歳以上、歳が離れている。わたしが小学生、兄が20代前半くらいのときに特によくマッサージを頼まれた。肩を揉まされたり背中の上に立って足踏みさせられたりもしていたのだが、いちばんは脚を揉まされていた。

 

彼の脚は丸太である。ほんとうに固い。そのうえ太いから、両手をまわしても一周しない。小学生の握力で精いっぱいやったところで、「もっと強く」と言われるのが当たり前。超疲れる。

もうひとつ厄介なことに、兄はめちゃめちゃくすぐったがりだった。脚がもじゃついている彼は、うまくやらないとくすぐったいらしく、ときどき怒られて蹴られる。強い力加減を保たないといけないのである。過酷だ。こんな苦行をさせられている小学生女子はなかなかいないんじゃないか。

(その代わり、モンハンやドラクエのプレイ画面を見せてもらえて楽しかったので、まあよし)

 

 

 

そんなわけで、小学生のときに難易度★★★くらいの脚を揉んだために、私は鍛えられた。常にマックスの力でマッサージすることを覚えたので、兄以外をマッサージするのはまったく苦じゃない。

自分でするのも好きだ。今はネットで調べたらいくらでもリンパマッサージのやり方が出てくる。どんなに立ち仕事をしても、お風呂上りに肩まわりや脚を流してあげると、翌日の朝全快する。 せっかくだから極めようと、無印良品でマッサージオイルまで買った。タイに行ったときもオイルを買ってきた。

母の肩もみであろうと、一緒に旅行した友達の脚もみだろうと、お手の物だ。頼まれてもいないのに、マッサージしようか?と名乗りをあげてしまう。お節介なやつである。最初は遠慮されるけれど、いや私がやりたいんだと言うとわりと喜んでくれる。やりがいがあるからまたやっちゃう。

 

 

 

将来、路頭に迷ったときに、マッサージ師の免許をとるのはあんがい悪くない選択なんじゃないかと思っている。

みなさん、いつでもマッサージします!兄みたいな脚の人にはプリンぐらいおごってほしくなるけれどね。