愛猫が2匹とも亡くなってしまった。
愛猫といっても、1年間一緒に暮らしただけの猫なのだけど、それでも愛しい思い出が詰まった猫たちだった。
この子たちは元々、わたしの兄の奥さんの猫で、ある事情で1年間わたしの家に預かることになったのだった。私が大学2年生のときのことである。
猫と触れ合うのは初めてだった。13年間ダックスフンドを飼っていたから、犬は分かる。でも猫か、この子たちはどういう挙動をするのか…と、だいぶ警戒してのお出迎えだった。
そして、猫たちも警戒心が強かった。ぜんぜん表に出てきてくれなくて、机やカーテンの裏に隠れてしまっていた。
うちに来て3日目くらいだったろうか。信頼関係の邂逅は早かった。
ある日、夜遅くに帰ってきてソファに座ってスマホを見ていると、猫が出てきた。それよか、ソファに上がってきて、私の横に来るのだった。
おそるおそる手を出してみた。匂いを嗅がせてから触るべし、というのが動物の基本だと思っていたので、とりあえずくんくんしてもらう。
それから顔を触る。目を細めて、ザ・恍惚ととれる表情を見せてくれた。
なんだこいつは。ずっと逃げていた癖にちょろすぎる。めちゃくちゃかわいいぞ。
もっと臆病なもう1匹とも、すぐに仲良くなれた。こちらの子のほうが甘えん坊で、よく私の横に来てくれたり、寝転がっているわたしの上に乗ってくれたりした。
ある日の朝暑くて起きると、2匹とも私の上に乗っている日もあった。
毎日1時間ねこたちを撫で回すのがわたしの日課だった。
そんな彼らとの日々は1年間で終わったわけだが、すっかり猫派に転んでしまい、
ヨーロッパ をふらふらしていたときなんかは行く先々の都市で猫の写真を撮ってコレクションした。世界のねこ。
将来の目標のひとつには猫と一緒に暮らすことがある。いつか叶うといいな。